はじめに
この記事はwhywaita Advent Calendar 2023の9日目の記事です。
筆者はwhywaitaと同期ビジネス職として新卒でCyberAgentに入社しました。
この記事を執筆するためだけに生まれた本ブログの華やかな前途を祝して。
なぜポーカーなのか
whywaitaといえば当然ポーカーが趣味ということは親愛なる読者諸君ならもうおわかりかと思います。
私も常日頃からwhywaitaさんも所属しているCAPC(CyberAgentPokerClub)にて研鑽を積んでおり、そこから学んだことは数え切れないほどです。
この記事はそんなポーカーから学んだことを備忘録として残しておくために執筆されました。
①ゲームの100%をコントロールすることはできない。自分にできることは50%を51%にするための営みである
ゲームをプレイするとき、暫し陥ってしまいがちなのが「自分は物事を完全に掌握することができる」という誤った全能感です。
例えば負けが混んでおり完全に冷静を失っている相手が、自分のハンドを確認せずオール・イン(持っているすべてのチップをベット)してきた場面。
あなたがハンドを確認すると、なんと最強の手札・AAがありました。やったー!
あなたはもちろんコール(賭けに乗る)。さらに相手の手札はポーカーで最弱の27o!
たまらずガッツポーズをするあなた。勝率は87.24%です。
しかし次の瞬間。Flop(最初に開く3枚のカード)は222。
あなたの勝利は儚くも消えてしまいました。。。
さて、結果としてあなたは愚かにもPreflopですべてのチップを注ぎ込み、相手にそれをすべて奪われてしまいました。
あなたが行ったプレイはミスだったのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません*1ね。ポーカーにおいてプリフロップ(最初の2枚だけが見えているターン)で87%の勝率があるのはものすごいことです。
人は物事の結果だけを顧み、しばしば反省を行いますが結果とは今回選択された1事象でしかありません。
もちろんその中に自身が関与する余地を検討する努力は必要ですが、時として結果よりも過程を振り返ることの重要性をポーカーは教えてくれます。
②自分が席に座る前に、かなりの割合勝負はついている
さて、ポーカーといえば華やかな心理戦が魅力のゲームです。
様々なメディア・アニメ・ドラマに代表されるように、仮に初心者であっても相手の心理の意表をつくことができれば、華麗かつ確実に勝利をおさめることができるでしょう!
・・・果たして本当にそうなのでしょうか?
賢明な読者ならおわかりの通り、上記は現代においてほとんど通用しないイメージです。
現代のポーカー戦略は、GTOツールによって急激な成長を遂げています。
GTO戦略について詳細を語ると自分の無知が露呈しそうなためここではその説明は割愛しますが、簡易に説明すると「コンピュータによって事前に計算された、対戦相手が想定されるどのアクションを選んでも自分の所得点数がマイナスにならない戦略」となります。*2
つまり現代のプロギャンブラーは、いくら天才ギャンブラーが現れようともほとんどの場合において「負けない」プレーに近い戦略を取っている、と言えます。
心理戦かつギャンブルのイメージが強いポーカーですら、今や戦う前の準備がその勝率を決める要因の中で最も大きい割合を占めているのです。
もちろん最後は時の運に左右されることとなりますが、自分が座席に座る前、どれだけ自分自身の成長と向き合うことができているか。どれだけ学習することができているか。
それこそが、現代ポーカーで勝率を高める最も確実で誠実な手段であると感じています。
③複数人が同じ物事を同時に学んでいくことにこそ、面白さが詰まっている
ここまで見てきた中で、人によっては当然1つの疑問が生じることかと思います。
「事前に決められた戦略を模倣するだけって面白いの?」
この質問はともすれば、AIとゲームの関係性を紐解くものになっています。
チェスにおいては、1997年の時点で当時の世界王者であるカスパロフがIBMのスーパーコンピューター「ディープ・ブルー」に敗北したことが大ニュースとなりました。
また、将棋においては「電王戦」という試みが3回に渡って行われた後は棋士とAIの試合を行わない事となっており、その後はABEMA含め様々なメディアで「AI評価値」が各棋戦の棋士頭上に表示されている、という画を見たことがある方は多いのではないでしょうか。
少なくともある種の「解」としてプロスポーツの解説にAIが用いられており、時としてプロが次の手を決める前にAIの手が最適手と判断されている場合というのをよく見ることとなりました。
もちろんプロレベルであれば、時として「AIを超える」手を見つけることもありますしそれは大いに周囲を湧かせます。
しかし、我々のようなアマチュアとして趣味でなにかのゲームに取り組む人々にとって、「プロも目を見張る宇宙的な一手」をゲーム上で生み出すことは難しくなってしまいました。
ではこれにより、ポーカーというゲームが持つ奥深さ・面白さは全く失われてしまったのでしょうか?
少なくとも現在の自分はそう思っていません。
CAPCでは、ハンドレビューチャンネルというのがあり日夜多くの議論を巻き起こしています。
このチャンネルではしばしば部長であるJが活躍していますが、もちろん彼だって完璧な理論をわかっているわけではありません。
時として以前の議論を覆したり、我々と一緒に新しい知識を学んでいくことがあります。
そしてそのレビューの補助として、GTOツールが活躍しています。
以上のように、人間の戦略を超える計算結果を叩き出すツールが登場することにより、新たなコミュニケーションの一貫として該当のツールを補助とした議論が行われ、そしてそれは我々の成長を大いに助けていることとなります。
このような時代だからこそできる成長の形がきっとあるはずで、それはポーカーのみならず今後多くの業界において生成AIの台頭などどともに進歩していくことでしょう。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
自分がポーカーで学んだことはまだ他にもたくさんあるので、気が向いたら(来年のwhywaitaアドベントカレンダーかも?)言語化していこうと思います。
whywaitaともポーカーを日夜楽しむことができるCAPC・・・もといCyberAgentでは一緒に働く仲間を募集しています。
まさかとは思いますが、本記事を読んで興味を持った方がいらっしゃいましたら下記よりお申し込みいただくか、 X: @y_takarada までDMください。
*1:ICMが非常に強く聞いている場合など厳密な議論は今回は無視させてください
*2:これ以上のことはポーカーとゲーム理論 に聞いてください。